聖書と自然と日本の心
聖書と自然と日本の心 池田 裕 〔著〕 『聖書』は決して遠い書ではない。そこには日本人だからわかる世界がある。自然をこよなく愛する著者が、古代オリエント世界と日本の接点を語る、心に響くエッセイ集。 聖書を生んだ人々と日本人とは、それぞれアジアの両端にあって、互いに長い間直接顔を合わせることなく独自の道を歩み、異なる文化を築いてきた。しかし、歩んで来た道や文化は異なっても、否むしろ、桜と楓のように互いに異なるがゆえにこそ、より刺激に富む豊かなエネルギーの交流ができるかもしれない。世界は日の出を待ち、聖書は日本の心との対話を待っている。(「はじめに」より) ――目次―― はじめに ●春の花(杏子の旅/歌がうまれるとき/花一輪) ●ある日のカレンダー(不思議/アインシュタインとの出会い/ある日のカレンダー) ●消しさった紙(紙とインク/消えない文字/味わい深く) ●お赤飯(ささげ/ムジャッダラ/聖書の地と米/マルタの料理) ●黄金の丘(考古学者のように/解放の言葉/時と新聞/ハルツィートの誕生) ●もう一つの地図(心を広げる朱線――伊能図/温かい色――マデバ・モザイク地図/もう一つの地図) ●美しき水路(十七歳の夢――通潤橋/古いパレスチナの導水橋/旅するオリファント) ●シロアの流れ(エルサレムの丘と水/危機に備えて/ヒゼキヤのトンネル/ある労働者の声――シロアム碑文/シロアの流れのように) ●夢は海に(名は「漁師らしく」/イスラエル人と海/ソロモンの船、紅海を行く/夢よ、もう一度/ヴァスコ・ダ・ガマより遥か前に/父の夢、母の祈り) ●ヨナの朝顔(モーニング・グローリー/ヨナの朝顔/日傘を貸して) ●靴みがきの歌(発掘の季節/魂/ラメシス・ホテル/幸せの靴) ●走るパウロ、歩くテモテ(潜水時間/熱い共感/テモテよ、ゆっくり) ●ジャンプ(お土産/読み過ぎて/新発見) ●衣更え(四季のない国のように/靴一足の権利/私の上着を戻して――ある労働者の訴え/言葉の衣更え) ●風の足跡――西に東に(秋の北シリア、アフリン谷/神殿の「足跡」/普遍なるものを求めて――設計者のイメージ/西と東を結ぶもの/接点/響きは諸人のために) ●ロバの声(エルサレムの風景/空を駆ける声/雌ロバとバラム/預言者よ、驕るなかれ) ●羊とおとめ(エルサレムの羊市/子羊は彼の娘のように――ある貧しい男の話/羊一頭とおとめ一人と――アナトリアの王キラムワ/羊の顔を見たことのない者に) ●拓本(古代の便箋/拓本が活躍するとき/メシャ碑文とアマチュア考古学者/甦った「ダビデの家」) ●故郷の月(留学生/望郷/再度の機会) ●冬の日射し(一番のプレゼント/ゴリヤテ体験/シュネムの婦人と子供/冬の日射し) あとがき 聖書の索引 初出一覧